2014年12月18日

宮部みゆき『ソロモンの偽証』

 中学二年生の自殺?、それから派生したと思われる、同級生の事故死?、放火による別の同級生の祖母の死。そして不良グループの跋扈(中学生による強盗傷害致傷)、校内暴力、いじめなどのお膳立て。はてさて、とてもじゃないが、食指は進まない。
 1997年には世情を震撼させた、14歳の中学生による「神戸連続児童殺傷事件(いわゆる『酒鬼薔薇事件』)も起きており、「荒れる中学」なども背景にある。

 たが、中心は中学二年生である(物語の進展で三年生へ進級してから「本筋」へと至る)が、視点は章を追う毎に変化する。彼等の繊細な心象風景が、家族問題も含め「さすが、宮部みゆき!」と唸らせるほど、ページを繰る毎にくっきりと印象づけられる。
 「中学三年生を甘く見てはいけない」、である。

 白状するが、これを購読するキッカケは「映画化」である。そこで、この主人公が芸名も「藤野涼子」として絶賛されていた(ネット情報。まぁ、宣伝だから当然か?)のだが、母親役を夏川結衣が演じていたのを知った。もちろん、どの本屋でも平積みされていたのも大いに影響している。「平積み」と言えば「ぼんくら三部作」も然り!いゃーミーハーですね。購読動機が「平積み」と「夏川結衣」ですか。

 さて、三部作全6巻。読み応えあり!家に帰って続きを読むのが待ち遠しく、睡眠不足になりながら、読み耽っちゃいましたね。
 解き明かされる謎なんかは二の次三の次です。中学生たちの群像劇の面白さに感嘆!もちろん、大人たちの点描も過不足なく、藤野剛・涼子親娘も良かった(まぁ、こんなことは宮部みゆきなら自家薬籠中だろうけど)。「稀代の三人」なんて言いながら、一番、評価が低かったのが、宮部みゆきだったので、改めて、「脱帽!」と言い直しましょう。

 ただ、話の展開上やむを得ないとは言え、藤野涼子が後半になって後景化してしまう(決して精彩を欠いているわけではないが)のが、残念。そしてエピローグは、野田健一君に譲ってしまった。映画化にあたっては、この役は藤野涼子で決まり!と思っている(「レディージョーカー」の終章の「久保」の役回りが、TV化では「合田」になったように)。加えて、生徒に向かって「おちこぼれ」と罵る「楠山」がちゃんと「校長」になっているなど、こんなところも宮部節満開! 
 そして、

 「あの裁判が終わってから、僕らは・・・・・・友達になりました」


posted by 風游 at 19:20| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 えぇぇ、「負の方程式」読了!
 多分、宮部みゆきもいささか思うところがあったのだろうか、それとも、あるいは私のような読者に対するサービス故なのか、文庫化にあたって「特別書き下ろし」の「負の方程式」が加えられている。
 そう、藤野涼子が20年後、弁護士として復活する! 

 本編を読んでいるとき、藤野涼子が神原君の前で泣いていたことを読み飛ばしてしまっていました(筋を追うのに急!ということですかね)。


 「藤野さんが泣くのを見ちゃったよ」
 今日は見事に立ち直っていたけど、昨日はよく泣いていた。
 「神原君が泣かせたんだよ。それ、ちゃんとわかっていますか」

 昨日? 八月十九日の休廷日? そして母親同士はすでに、一瞬の出会いにもかかわらず、
 仲良しになれそうな気がしたと、邦子は言って、自分で笑った・・・・・・
(ここはミーハーらしく、邦子=夏川結衣を頭に浮かべましたが)

 そうなんです。このシーンは野田健一に語らせているだけですし、藤野涼子が神原君の告白で「泣いてしまうシーン」などを要求してはいけないのだろう事は重々承知していますが・・・・・・

 まぁ、話の運び、起伏、秀逸なストリーテラー・宮部みゆきとしての「読者プレゼント」だと思った。そしたら、何と二人は、きっちり結ばれているではないか!「夫婦別姓」のようだし・・・

 なんてこった、宮部みゆき!そこまでサービスしなくてもいいのに・・・・・・
 いや、前言撤回、このサービスは文句なしに嬉しかった!!

Posted by 風游 at 2014年12月25日 21:20
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