2015年08月16日

『あなたへ』

 当然、「高倉健の」とすべきだが、一昨日、四十九日と納骨を済ませた友人のことを思いだしている。そう、病を得て面変わりをした友人だが、なんと、晩年の高倉健に似てきたのだった。それともう一つ、以前見たときは、思いもかけなかったが〈当たり前だが〉、劇中で「結婚生活十五年」と聞いて、「そうだ、あいつも結婚15年だったな」と、いささか思い入った次第である。

 「宇宙」などと彫り込まれた墓石であった。自分で墓を建てた。もちろん、こんなに早くそこに入るとは思っていなかったろうが・・・・。そして、江利チエミとの「不幸な」離婚以降、独身を通した高倉健と違って、50過ぎで再婚し、早すぎる死ではあったが、幸せな晩年であった。そんな個人的想いも綯い交ぜになりなりながらの「映画鑑賞」であった。

 さて高倉健だが、名優というわけではないし、あの一世を風靡した「やくざ映画」も、あの時代ならともかく(昭和残侠伝も日本侠客伝も網走番外地もほとんど観ています。そう、件の友人といつも一緒に観劇していたように思う。もっとも、その時は、あいつが高倉健に似ているとは露にも思わなかったが。池袋の文芸座である)、歴史に耐えうる作品とは言い難いが、しかし、確実に時代を画していた。。
 その後の山田洋次や降旗節男などの作品も良かったし、晩年の『ホタル』や『単騎、千里を走る』も悪くはなかった。そう、やはり高倉健は「歴史に残る大スター」である。

 この『あなたへ』は遺作となったものだが、再び観たいと思わせる映画であった。BSである。
 田中裕子(『夜叉』以来、倍賞千恵子に取って代わった?いや、私の好みで言えば中野良子も忘れてはならないが)の「暗さ」が何か、高倉健とマッチしていた(そして『ホタル』より遙かに感情移入できた)。
 映画は、彼女の「遺言」を巡っての「ロードムービー」だが、多彩な共演者が、それぞれ邪魔にならず、とりわけ、佐藤浩市と余貴美子夫婦(二人の絡みはないが)の造形が印象に残った。あれだけ伏線を張ってくれているのに、初見の時は、気付くのが遅すぎた。

 それにしても、いしだあゆみや大原麗子、そして大竹しのぶも含め、間違いない選択をしている。そして私としては、CMでの共演しかない永島瑛子と、映画でも本格的な共演をして欲しかった。なにしろ田中裕子以上に、永島瑛子の「不幸さ」は高倉健に合う。



posted by 風游 at 01:10| 沖縄 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 田中裕子を初めて知ったのは1980年の立原正秋原作の「恋人たち」というTBSのドラマです。主役は根津甚八と大竹しのぶ。大竹しのぶの姉さん役でしたね。
 なにしろ、その演技力たるや瞠目に値しました。いえ、とんでもない女でしたから、なおさらです。もっとも彼女の場合、NHKの朝ドラ「マー姉ちゃん」がデビュー作として注目されていますが(主役を食った、と評判だったようです)、私は見ていません。

 この「恋人たち」でも、端役とは言いませんが、妹役の大竹しのぶの「引き立て役」に過ぎませんでしたが、「田中裕子」という女優が深く印象づけられました。
 「いやー、なんていう女優だ! これは地か演技か(演技に決まっているでしょうが!)」と、唸ったものです。

 結構、この二人は「ライバル視」されているようです。もちろん、大竹しのぶも名優ですし、甲乙つけ難いと言いたいところですが・・・・

Posted by 風游 at 2015年08月17日 12:37
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