2011年10月13日

山田風太郎『人間臨終図鑑』

 私も歳なのか、「われわれは、死の準備に対して準備する」という荒俣宏監修の『知識人99人の死に方』をふと手に取ってしまった。「60歳まで生かしてくれ」という寺山修司(享年47歳)はともかく、深沢七郎(享年73歳)の「この世の中には恐ろしい病気があるねえ。それは“死ねない”という病気だよ」なんていう、どこまでも人を喰ったご託もある。とくれば、山田風太郎『人間臨終図鑑』にも食指が動く、というもの。
 戸内某所で、数頁、いや数行づつ読み連ねてやっと「上巻」終わり。
 一番最初が、15歳で死んだ、いや火あぶりの刑になったから「殺された」とした方がいいかも知れないが、「八百屋お七」で、次が大石主税、そして16歳で死んだアンネと続く。ほぼ1頁程度と思っていたら、太宰治は5頁以上を費やしている。自殺常習者とは言え、上巻で5頁も費やしているのは彼一人である。ちなみに4頁以上は、啄木、ジョン・レノン、漱石と、かの大久保清である。はてさて風太郎さんの筆の運びはいかなる基準か。ちなみに、お七が9行で短いと思っていたら、十兵衛、謙信ともに4行という最小記録。「貸借法すべて清算カリ自殺、というふざけた遺書を残し」た山崎光嗣でさえ5行である。
 20代で死んだ人々へ風太郎は「死をはじめて想う。それを青春という」という献辞を捧げたと思ったら、30歳で死んだ人々へは「神は人間を、賢愚において不平等に生み、善悪において不公平に殺す」だってさ。30歳では、義仲、義経、多喜二、中也ときて、管野スガが死んでいる。
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2011年10月04日

「風と共に去りぬ」雑感

はじめて見たときは、炎上するアトランタの街や、畑からニンジン?を抜いてかぶりつくシーンなどしか印象にない子どもの時でした。
少し大きくなった時は、なんて嫌な女なんだ、と、これ又、中途半端な見方しかしていませんでしたね。
ビビアン・リーもクラーク・ゲーブルも好みではなかったのか、災いしたのでしょう。

朝日の文芸時評で井上ひさしが絶賛した「ジャリン子 チエ」の中で、「明日考えよう!」という絶妙な台詞使いに言及していて、
「風と共に去りぬ」の映画のポスターが「チエ」のアップの背景に使われていたのを印象深く読みました。

さて、今回は、というと、メロドラマ大作としては傑作だ、深く反省した次第です。
もちろん、メラニーがご贔屓なのは変わりませんが、スカーレットにも、レットにも大いに惹かれましたよ。それだけ歳を取ったのでしょうか。
それにしても、ラス前のレットの捨て台詞は、心寂しいものでしたね。「知らないね、勝手にするがいい。」とは!

となるとベティ・デービスの「黒蘭の女」も、もう一度見てみたいです。
確か、この映画も彼女がアカデミー賞を授賞していたのではないか、と思いますが、
「風と共に去りぬ」と較べると、極端に話題にはなりませんけど……。

アメリカ人にとって「南北戦争」は幕末・維新のような物語の宝庫なのでしょうか。

まぁ、それにしても、BSプレミアムは要チェックです。
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2011年09月11日

北方謙三『揚令伝』

待ち望んでいた、というほど大仰ではないが、それでも本屋で見つけてすぐ購入してしまった。
なにしろ、毎月1冊である。もう3冊か!(読まずツンドクつもりだったが……)

『水滸伝』の時は、たまたま読み始めたというのが本当のところだが、
これまた毎月が待ち遠しくなっなってしまった。
つられて『三国志』全13巻、読んでしまったのだから、北方謙三恐るべし(笑)

さて、108人、揚志を始め、死ぬわ死ぬは。
誰と誰が生き残ったのか、燕青、史進、武松も……。
そして息子たちへと興味をつなぐ。芸が細かい!

キューバはいざ知らず、国家なんぞろくでもない!とくれば
そうか、揚令も死ぬしかないか。
一人、荒野を落ち延びるっては、絵にならないもなぁー。
まだ、第一巻の数10頁なので、ネタバレごめん!

金建国、宋帝国は崩壊、もちろん、その後はジンギスカンの登場であるが、
揚令は如何に闘い抜くのか、……



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2011年08月18日

小林正樹『人間の条件』

今週のBSPは『人間の条件』。8月15日から6夜連続。
五味川純平としようか、仲代達矢としようか迷ったが……

今観ると、いささか乱暴だが「ぬるい!」!とつぶやいてしまう。

ただ、往時の俳優達に見入ってしまった。
第三部の岩崎加根子など、もう話題にもならない昔の女優だが、wikipediaには
ちゃんと「俳優座が生んだ三大新劇女優の1人と称されている」と紹介されている。
(萬屋錦之介の「宮本武蔵」で、「吉野太夫」もやってました。)

新人時代の佐藤慶や田中邦衛など、仲代の俳優座仲間も所を得ている。それにしても、仲代もまだ20代です。

小林正樹は木下恵介の弟子筋に当たるんですね。多分6夜連続に付き合うことでしょう(笑)





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2011年07月28日

イングリッド・バーグマン『誰が為に鐘は鳴る』

 今週のBSはバーグマン特集。月曜が「カサブランカ」、火曜が「誰が為に鐘は鳴る」、そして水曜が「ガス燈」でした。
 もっとも、これを知ったのは火曜でしたので、「カサブランカ」は見はぐってしまいました。
 2、3回は見ているし、私は世上言われる程、「名画」とは思えません。ハンフリー・ボガードの代表作でもあるのですが。

 「誰が為……」は、一体何度見たことでしょう。いゃー、バーグマンが可憐だ(もっと素晴らしい褒め言葉を考えなくてはいけませんね)。ソフト・フォカース多用のアップの様々な表情を見ているだけ、うっとりしてしまいます。
 ヘミングウェイ自らがマリア役としてバーグマンを指名したそうです。ヒチコックは「彼女は傑作にしか出ない」なんて、嘆いていたようですが、そりゃあ、グレース・ケリーとなんか比較になりませんよ。もっとも、時代はズレますが、オードリー・ヘップパーン派とバーグーマン派に分かれて「激論」(笑)した記憶があります、いえ、高校の頃ですが……(いえ、ヘップバーンも素敵ですよ(笑))

 さて「ガス燈」は初見でした。
 まさかのヒチコックばりの「ミステリー仕立て」です。バーグマンはこれでアカデミー主演女優賞を受賞。(彼女は3回も授賞しているんですね。)
 シャルル・ボワイエはともかく、ジョゼフ・コットンが刑事役ですからね。だから?、と突っ込まれそうですが……
 まぁ、「霧のロンドン」です。前二作のプロパガンダ映画と違って、純粋サスペンス映画です。
 なんと1944年製作ですよ。

 さて件の「誰が為に鐘は鳴る」ですが、ラストシーン、多分原作通りなのかも知れませんが、「アメリカを……、マドリッドを……、いや、マリアのことなら……」とさらっと訳してました。ここは思い入れたっぷりに、「アメリカのために死ねるか、ダメだ。じゃあ共和国のために……、ダメだ。そうだ、マリア、マリアのためになら死ねる。」という意訳の方がミーハーな私としては好きでした。
 第七旅団ですか、彼が属していたのは……

 怒っても、泣いても、笑っても、澄ましても、可愛い。と付け加えておきます。
posted by 風游 at 23:41| 沖縄 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月26日

高村薫『レディ・ジョーカー』

職場の近くの本屋で平積。思わず上中下三巻購入。もちろん文庫です。

「今、日本は変わらなくてはならない大転換期。ここで変われるかで未来が決まる」
「決定的に経済界が誤っているのは、企業活動と国民の命をてんびんに掛けていること。
国民の命より、経済を優先することはあってはならない。
15万人以上の周辺住民の生活を根こそぎ奪っている現実があるのに、電力不足もない。」
これ高村薫の言。

結構、新聞のコラムなどでの時評・批評に納得するものがあって、気にはなっていました。
ただ、昔読んだ『李歐』が良くなかった。余りにも、重すぎる。
でも、テレビで「地を這う虫」という、これまた重いドラマに惹きつけられたことがあります。

この原作者が高村薫だと知った時、この作家の持ち味は「長編」が良いのでは、
なんて勝手に思い込んだ記憶があります。主役の奥田瑛二もその妻の余貴美子も良かった。
但し私が見たのは、三話のうちの一話の、そのまた部分(苦笑)。
ですから、夏川結衣が出ていたのは後で知りました。

何を隠そう、私は夏川結衣のファンでもあります(笑)。
何しろ「青い鳥」で、この女性は幸せになるんだろうか?なんて思っていたら、
死んじゃうんです、自殺です。
思わず「えぇぇ」って声こそ出しませんが、驚愕です。
私の知る夏川結衣は、やはり「不幸が服着て歩いている」感じです。

そうそう『レディ・ジョーカー』でしたね。
でも、まだ上巻の数十頁です。
かったるいピロローグを我慢して読み進めていたら、
ナント「カイドウ」なんて言葉が出てくるではありませんか。
レットパージもどきや被差別部落への言及が話の導入部になっているんです。
重さは相変わらずですが、長編が救いです。

好みはともかく、高村薫、宮部みゆき、桐野夏生の三人の筆力には感服です。



posted by 風游 at 00:55| 沖縄 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月17日

服部真澄『エクサバイト』

エクサバイトとは、2の60乗・百京バイトをさすそうな。
メガからギガ、そしてテラも珍しくなくなったが、その上のベタのまた上。
さすが服部真澄と褒めたいところだが、読み続ける意欲がなくなった。
設定のどうしよもない陳腐さである。最先端情報小説とやらだが。
ヴィジブル・ユニット……無理があるなぁ。

『龍の契り』から『鷲の奢り』で、久しぶりに追いかける作家が生まれたと思った。
『ディールメイカー』、『バカラ』『エル・ドラド』と来て今作であるが、
徐々に、話に無理が生じてきている。そして致命的なのは人物造型……
もっとも、「毛沢東の密約」に少し興奮しすぎたのかも知れないし、
英国スパイが「女」であると、最後まで分からなかったことに点が甘くなったか?






posted by 風游 at 17:51| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月29日

アクセス出来ました

とりあえず、某県立図書館からアクセス出来ました。
(まぁ当然か!)

posted by 風游 at 10:31| 沖縄 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月07日

新藤兼人『裸の島』


とくに新藤兼人のファンという訳ではありませんが、見入ってしまいましたね。

1960年作品。いわゆる「芸術作品」は敬遠しがちです。
でも、BSでの放映を知ったら無性に見たくなりました。

巧みに計算され尽くした「リアリズム映画」(戦前ではない)。
「台詞の全くない」という触れ込みですが、林光の音楽がとても良かった。
そして、音羽信子がなんと魅力的な女性か、ということを見せつけられました。
(まぁ、伊丹十三監督の宮本信子と比較なんかしてはいけませんよ。)
でも、やはり、芸術映画は苦手です(笑)。

音羽信子が亡くなってからでしょうか、追悼かなんかのテレビ番組で
新藤兼人が「音羽君」と語っていたのが、印象的でした。

モスクワ国際映画祭でグランプリを受賞したそうですが、
ヴェネチアでもカンヌでもなく、モスクワと言うところが……。

posted by 風游 at 20:04| 沖縄 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月23日

有川浩『塩の街』

読んでしまいましたね、有川浩。
極悪慎太郎に喧嘩を売っている一文(朝日新聞?)を読んで、
「なかなか、いいじゃないか」なんて思ってしまったのです。

沖縄つながりから、「船」とか「島」「海」のタイトルに引かれ、『海の底』を手に取りました。
軽く、読みやすい、破綻が少ない。なによりも読後感がいい。
「ライトノベル」というレッテルを知りましたが、若い自衛官も少女もいい。
そして、オヤジもいい、オチもいい。(ほめすぎですか?)

そしたら、なんと作者は女性で、元自衛官?軍事オタク?とのこと。
「フリーター、家を買う」とか「図書館戦争」とか、私が知らないだけで
結構、メジャーだそうです。(『図書館戦争』は売り切れ!とか)
「そうか、汚らしい芥川賞作家知事にも、腰が引けずにいるのか」と妙に感心。

『空の中』も読みましたので、自衛官三部作は読破(笑)。
荒唐無稽なストーリーの中で、きちんとした人物描写は、好感が持てました。

posted by 風游 at 22:34| 沖縄 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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